宅建業者は不動産の購入動機に直接に影響する法令規制について調査し購入者に説明しなければならない。

不動産取引の裁判事例

買主は、媒介宅建業者によって、投資用アパートを購入した。その物件は、4室のアパートとその前面の駐車場である。売主によって設計・建築がなされていた。当然、投資用アパートであるので、賃料収入を得ることを目的としていた。

その物件の販売広告には、「希少駐車場2台分付」と記載されていた。かつ、想定賃料については4室と2台分の駐車場分が記載されていた。

売買契約締結後、駐車場のうち、1台分のスペースについては、地元自治体の定める窓先空地※であり、物を置くことができないことが判明した。そのため、駐車場2台分の収入ではなく、駐車場1台分の収入しか得ることができないことになってしまった。

そこで、買主は、媒介宅建業者に対して、駐車場の収入について不正確な情報を提供して売買契約を締結させたとして損害賠償を請求したのです。

”裁判所は、媒介宅建業者の説明義務違反を認めた。”

”媒介宅建業者については、宅建業者であることに照らすと、土地建物を収益物件として売買するに際して、土地建物にかかる法令上の制限について、誤解を生じさせる記載がある広告を使用しないようにする注意義務があると解するべきであり、収益物件として駐車場付きの物件である旨の記載のある販売広告を使用する前提として、駐車場部分を賃貸用の駐車場として使用できるか否かについて調査する義務違反があったというべきであるとして、損害賠償を認めたのです。”(東京地裁平成30年7月11日判決)

建築関連法規や条例には膨大な数があり、宅建業者においては、そのすべてのチェックが求められているわけではないようなのですが、不動産の購入者には、それぞれに購入動機があります。

購入動機に直接に影響する法規制や条例による規制については、確実にこれを調査し、その結果を購入者に説明しなければならないということです。

投資目的の不動産購入では、なおさらです。条例による規制が賃料収入に直接に影響を及ぼすような場合には、宅建業者としても、できる限りの調査を行って、その説明をすることは、宅建業者に求められている役割であるといえるでしょう。

買主の方も、疑問点があれば、積極的に説明を求めることも必要なことなのではないでしょうか。

※この例では、東京都建築安全条例の定める「窓先空地」(まどさきくうち)で、共同住宅における火災時の避難を容易にするために、共同住宅の敷地のうち、1階の住戸の窓に直面する敷地部分において、一定の幅員の空地を設け、その空地を避難経路として利用できるようにするものです。この場合の具体的な規制の内容は、1階住戸の窓に直面する敷地部分は、幅員1.5メートルの空地を設けて避難経路とし、物を置くことができないというものです。もちろん駐車場として使用することができません。

【不動産取引のRE/MAXエージェント&建設業許可アドバイザーの白神英雄】

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