未完成マンションはパンフレットやチラシだけでなく正確な設計図書を確認すること!

不動産取引の裁判事例

売主業者が「全戸南向き」と宣伝して、未完成マンションを販売したが、実際には、「全戸南向き」でないことが判明したため、買主が損害を受けたとして訴えを起こしたものです。

売主業者の本社ビル一階の販売センターには、正確な方位の記載された建築設計図書が備え置かれていたが、すべての買主らが、それを見るわけではなく、また、売主業者の販売員も、特に質問がなければ方位ついて買主らに説明することはなかった、ということのようです。

裁判所は、未完成マンションの場合には、買主は現地見分によりマンションの向きを確かめることができないから、そのようなマンションの売主業者は、買主に対し、マンションの向きについてできる限り、正確な情報を伝え、不正確な表示・説明を行わないよう注意すべき信義則上の義務を負うとしたのです。(平成12.3.24京都地裁判決要旨)

なお、「信義則」とは、民法に規定されている「信義誠実の原則」のことをいいます。

未完成マンションの売主業者に対しては、買主であるマンションの購入者にとって日照の確保は重要な要件の一つであるので、未完成物件でのパンフレットやチラシ広告の作成においては、設計図等の確実な資料に基づいて正確に表示する必要があるということを言っているようです。

未完成マンションの買主の方は、パンフレットやチラシを鵜呑みにすることなく、売主業者が備え置いている正確な情報、この場合は、正確な方位の記載された建築設計図書を確認すべきであると注意を促しているのかもしれません。

「全戸南向き」で日照がよい、ということで購入された買主の方からの訴えですが、日照の確保にかかわらず、買主にとって重要な要件であるような事項についても同様だと思われます。

不動産は、何といっても、高額なものですし、一度購入すれば、おいそれと買い替えるわけにいかないものです。売る側も買う側も注意すべき点です。

【不動産取引のRE/MAXエージェント&建設業許可アドバイザーの白神英雄】

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